ー愛証ー

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ー愛証ー

白い肌にキスして、花を咲かせる。 赤い…熱を持った花を咲かせると、君は困った顔をする。 「痕…なかなか消えないのよ?」 「そらそうや。俺の想いが、しっかりこもってんやから。」 「想い?」 問う君に、そっと囁く。 「愛してる。って…想いや。」 真っ赤に染まった君に、もう一度花を咲かせる。 首に、鎖骨に、胸に… 咽せるような芳香…熱を帯びた吐息に、眩暈すら覚える。 「私も…したい…」 「何を?」 潤んだ君の眼に映る自分の顔を見ながら問うと、濡れた唇がゆっくり動く。 「痕…付けたい…」 「いっつも、付けてるやん?一緒懸命…」 「えっ?」 瞬く君の胎内(なか)に、グッと、自分を埋める。 跳ねる身体を抱き締め穿つと、背中に、チクリと痛みがはしる。 「ホラ、付いた…」 「?」 不思議そうに見つめて来る君に、そっと耳打ちする。 「背中…引っ掻き傷。ついてんで?」 「!」 キュッと、中が締まる。 照れとんかい。 可愛い可愛い… 腰を使って、何度も何度も穿つ度に、背中に伝う痛み。 言葉にならない君の愛を感じながら、満ち足りた気持ちで果てる。 気を遣った君を抱き締めて、深く口付ける。 「好き…」 糸を引いて離した口から紡がれた君の言葉が、また…俺の情欲に火をつける。 「もう、離さへん…」 赤い花に満たされて、今夜もまた、眠れぬ夜が、更けてゆく… 愛する君と、いつまでも… 了
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