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「絶対に誰にも言うなよ」
「あぁ」
「絶対だぞ?言ったらマジでブッ飛ばすからな?」
「分かったって…しつけぇな」
19時半を回った夜の校舎はシンと静まり返っていて、俺たち以外に人の気配はない。
昇降口の外側で、今にも消えそうな電灯がチカチカと点滅しながら必死で俺たちを照らしている。
そんな中、クツワムシやらキリギリスやらと一緒になってテンパった悠斗があーだこーだと騒ぎ立てる。
「じゃ、ちょっとこれ…」
そう言って、悠斗が学バンから青いノートを取り出した。
そこから1枚を雑に破り取り、壁に押し当てて何かを書いてペンと一緒に俺に寄越してきた。
「はぁ?何だよこれ」
汚くて、しかもちょっと間違って誤魔化した感じの『誓約書』と書かれた下に、これまた汚い字で『秘密を守らなかった際には、命をもって償います』と書かれていた。
「これにお前の名前を書け」
「ウザ…お前マジでウザ」
「三井孝之ってフルネームで書け。そしてその横に血判を押せ」
「何だよケッパンて」
「血だよ。血の判だよ。指をな、切って、血を押すんだよ」
「怖ぇーよマジお前…」
「じゃ、じゃあ録画‼︎録画でいいや…。俺が今から録画するからその誓約書を読み上げろ」
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