あと3センチ

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「悠斗は俺から何が欲しい?」 「べ、別に…」  俺は足を止めて悠斗の肩から手を外した。 「嫌なら言って。全く望みがないんなら、もう二度と触んねぇから」  心にもない事を言って悠斗の気持ちを探ってしまう。  今まで抑え込んでいた欲が、希望の光を掴もうとして(はや)る。  我ながら面倒くさい男だな…って笑えてくる。  俯いた悠斗がそっと俺の左手の中指を掴んで 「気持ちの整理が付かない…」  と言った。 「あぁ」 「…写真はいつかちゃんと消す。絶対、約束する」 「今すぐには…消せない?」 「まぁ正直……消すには惜しい」 「ん゛ん…うん、まぁ…うん…そうか…」 「観賞用として…捨て難い」 「俺のじゃ代わりにならねぇか?」 「…孝之のは、ダメだ。色々……」 「あ?(なん)て?」 「想像しそうで、先を…お前との……」  段々と声が小さくなるわ、下を向くわで最後が全く聞き取れない。
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