隣の席の地味子がおれの推し

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 ルンルン気分で教室へと戻ると、何ともいえない気まずい視線が一斉に突き刺さる。誰も彼もがよそよそしくて、おれと視線が合いそうになるとスッと逸らしてしまう。  いくらマリンにゃんという友だちが出来たとしても、これは正直ショックだった。自業自得だとは分かっているが、この先この微妙な空気が続いていくのだろうか?  席に座って小さくため息をつくと、隣のマリンにゃんが心配そうにこちらを見ている。  するとその時。 「……う、植田くん、」  いつも不可抗力で怖がらせてしまっている渋木が話かけてきた。一体何事かと驚きつつも、警戒してしまう。 「なに?」  思ったより冷たい声が出て、そんな自分が嫌になる。渋木は一瞬怯んだ様子だったが──。 「植田くんって、マリンにゃんのファンなんだね! ぼくも、その、キャットガールズのファンで、特にルカにゃんを推してるんだ!!」  そう言って、スマホ画面を見せつけてきた。渋木の待ち受け画像は、キャットガールズのメンバーであるルカにゃんのものだった。 「植田くんと、キャットガールズの話をしたくてさ……その、連絡先、交換しない?」  おれはぱちくりと目をしばたたかせ渋木を見返す。  おれと話をしたい? 連絡先を交換したい? そんなの、まるで── 「植田くん、その……ぼくと友だちになてくれない、かな?」  そう、友だちみたいじゃないか!
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