隣の席の地味子がおれの推し

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「おれ、目つきが悪くて口下手でさ……そのせいで怖がられて友だちも出来ない」  マリンにゃんは黙っておれの話に耳を傾けてくれる。 「たまたま、音楽番組でキャットガールズが歌ってるのを見たんだ。その時、笑顔のマリンにゃんがドアップで抜かれててさ……。マリンにゃんがおれに笑いかけてくれてるように感じたんだ。気持ち悪いよな、絶対にそんなことないのに。だけど、」  あの時のマリンにゃんの笑顔、そして体中に稲妻のように走った衝撃は今でも忘れられない。 「皆がおれを怖がるのに、おれに笑顔を向けてくれる人がいる。……おれは、そのことに救われたんだ。だから──」  目頭が熱くなり、鼻の奥がつんっとする。今にも涙がこぼれそうだったが、おれはそれを我慢してずっと伝えたかったことを彼女に告げる。 「おれの推しになってくれてありがとう、マリンにゃん」  マリンにゃんは一瞬驚いた顔をしたが、直ぐに微笑む。 「あたしの方こそありがとう、植田くん。あたしの為に怒ってくれてさ。正直、嬉しかったよ」  マリンにゃんの為というか、おれ自身の為に怒ったみたいなものであったのでそうやってお礼を言われたら面映ゆいものがある。でも、マリンにゃんが嬉しかったのならそれでいい。  
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