4人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、粛々とポスター張りを終えたおれは寄り道などせず真っ直ぐに家へと戻った。
「ただいま」
玄関で帰宅を告げると、リビングから母さんがひょこりと顔を出す。
「お帰り、龍臣。あんた今日は早いのね」
「うん」
「今日の夕飯はあんたの好きな唐揚げよ」
「うん」
自室のある2階へと向かうおれに、母さんは呆れたような声色で言う。
「はぁ、あんたには愛想ってものがないのかしらね? いっつも怖い顔して、そんなんで友だちはちゃんといるの?」
それに対しておれは言い返したりはせず、部屋へと入った。
……そもそも、おれが怖い顔なのは生まれついて目つきが悪いのが原因だし、愛想がないのは人見知りのコミュ障だからだ。それらの要因が重なった結果、おれは周りから【怖い人】認定されビビられ避けられまくっている。
おれは怖くなんてない、誰かを傷つけるようなことはしない、だっておれは、おれは──
「無害なただのドルオタに過ぎないのだから!!」
部屋中に溢れる相澤 マリンのグッズ、グッズ、グッズ!!
CDやライブDVDは基本として、ポスターやブロマイド、アクキーやアクスタも取り揃えており、ライブTシャツやペンライトも忘れない!
そう、おれは相澤 マリン……いや、マリンにゃんの大大大ファンなのだっ!! 勿論、マリンにゃんの所属するグールプ【キャットガールズ】のFCにも入会済みだ!
最初のコメントを投稿しよう!