隣の席の地味子がおれの推し

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 それから3日後。登校するとずっと休んでいたマリンにゃんの姿が教室にあった。まぁ今日も休みだろうと考えていたおれは驚きのあまり教室の入り口で突っ立ったまま固まってしまう。  マリンにゃんは相変わらずの三つ編み眼鏡の地味な姿で、黙って本を読んでいる。  心臓はばくばくと派手に脈打ち、今にも破裂してしまいそうだ。緊張でかたかたと震える足を一生懸命に動かして、おれは自分の席へと向かう。  平常心だ、平常心。いつも通りに振る舞え! 心の中で必死にそう唱えながら椅子を引いたその時……。 「植田くん、おはよう」  憧れのマリンにゃんがおれを見て挨拶してくれた。その事実に頭の中が真っ白になる。真っ白になりすぎて、緊張もなにもかも吹き飛んでいってしまった。 「……ああ」  気がつけば、いつも通り過ぎる愛想のない答えをおれは口にしていた。  マリンにゃんはおれから視線を外すと、再び本を読み始める。  ああっ!! せっかく推しの方から声をかけてくれたのにおれはなんて勿体ないことをしてしまったんだ!!  また話しかけてくれないかな、そんな期待を抱くもマリンにゃんはそれ以上口を開くことはなかった。
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