まるで冴えないモブ男子の僕の武器は超絶のイケボらしいです

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*****  平野さんはほんとうに来る日も来る日も一人暮らしの僕の部屋に入り浸るものだから、正直、僕は困っている、どう扱ったらいいのか迷ってもいる――明らかに戸惑ってすらいた。マンガを持ち込んではベッドの上で爆笑する。ときどき「ゲームの相手をしろ」と言われる。都度、「帰ってくれないかな?」とか「帰ったほうがいいよ」なる言葉が頭に浮かび、つまるころ「帰るべきだよ」と言いたいことに気づくしその思いを強くする――そんなことばかりだ。でも――ほんとうに僕は良くない男子だ。いかんともしがたい下心があるものだから「いっときでも長くこの部屋に居てほしい」と心の中で平野さんにお願いしてしまう。そんな自分の思考を「クソッタレ」と断じてしまう僕はおかしいのだろうか、どこか病んだりしているのだろうか。――否、そんなことはないはずだ。だってどこからどう観察したって平野さんは年齢にふさわしくないくらいの色気までまとった美少女なのだから――ギャルっぽいのはきっとご愛敬だ。むしろ僕はそういった「人種」が嫌いでもないし……。ああ、ほんとうに僕はなんてスケベなんだろう。
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