まるで冴えないモブ男子の僕の武器は超絶のイケボらしいです

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*****  なんだかどんどん事態は悪くなっているようで、その旨理解していても、いっぽうで今日も平野さんに「弁当一緒に食おうぜ」などと誘われてしまうというイベントに出くわした。断ろうと思った。だけど「いいから来いよ」と腕を引かれ、中庭のベンチにまで連れ出されてしまう。僕は誰からも恨まれたくない。だけどそのへん平野さんは強引で、さらには黄色も鮮やかな卵焼きを「あーん」などと仕向けてくる始末。「やややっ、やめてくださいっ」と僕はどもりにどもった。「えーっ、ノリ悪いじゃーん、タナベェ」、なかばふざけた調子で言われてしまう始末。そういった事象はともかく、平野さんはまず間違いなく我が校において最も魅力的な女子生徒なのだ。だから平野さんといると目立つ。男女問わずの目を集めてしまう。うぅぅ、その視線が痛い、うぅぅぅぅ……。 「今日もおまえんち行くかんな。おまえんちはあたしにとってサイコーの溜まり場なんだ。きちんとコーヒーを用意しろな、じゃなきゃ死刑だ、テメーは」  ねぇ平野さん、そろそろご勘弁いただけないでしょうか……。
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