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放課後、夕暮れ色は増す。
平野さんは僕の家を訪れたのである。
あろうことかなんというか、あるいは今日はというか今日もというか、顔が真っ赤ではないか。そこにはどんな理由だ、何がある? どうあれ何かはあるのだろう。 そのへん深く考えてしまうとなんだかどつぼにはまりそうな気がする。――相手からのアクションを待とうと思う。
「馬鹿だよテメーは。あたしがここに来てやってのに――つーわけだ」
「な、なんのことですか?」
「言いたいこと、言ってみろよ」
「え、えっと、それは」
「やりたいことがあるならはっきり言いやがれ」
「……セッ」
「セッ?」
「セックス、とか……」
平野さんは顔を真っ赤にした。
「アホ言え、タナベ! おまえはダメダメなクソッタレだ。ルルーシュのくせにルルーシュの片鱗すらねーんだからな。だったら生意気言うなって話で――」
「知りませんよ! そんなこと!!」
「黙れうっせー、怒鳴るな馬鹿!! ルルーシュっ! 悔しかったら絶対順守の力ってのを使ってみろ! でもってあたしを凌辱してみろ! 不本意極まりねーが、とにかくテメーはあたしのルルーシュなんだからなっ!!」
言っていることの意味がまるでわからない。僕は平野さんのことが好きだし――否、だったらどうしろうという話だ。平野さんが言うとおり乱暴を働いてやれば良いのだろうか――それは違う。そのへん、正々堂々であるべきだ。馬鹿かな馬鹿かな馬鹿なのだろう。僕は物事をうまく誘導できるほうではなく、その一方で声は「ルルーシュ」なのだ。なんだかそう、声だけ良くてもなぁ……。
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