まるで冴えないモブ男子の僕の武器は超絶のイケボらしいです

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*****  べつに喧嘩とかしたわけではないのだけれど、急に平野さんがよそよそしくなった。僕の部屋にもめっきり来なくなった。風の噂で聞いた。どうやら平野さんが僕の家に入り浸っていることがいよいよ知れてしまい、そのせいでさまざまからからわれているらしい。彼女ならそんな「つまらない事実」、気にも留めないだろうとは思うのだけれど、そんな情報とともに耳に入ってきたのは「平野さんが上級生のイケメンと付き合い始めたらしい」なる報せだった。僕は「それがあるべき姿だよな」と納得する一報で、「平野さんはもう来てくれないのかぁ」と少なからず寂しく、また残念に思った。そのイケメンの先輩もいい声してるのかな――じゃなきゃ付き合ったりしないだろうという妙な確信があった。平野さんは「外見」ではなく「声」に惚れるヒトなのだ。そういうヒトなのだろうけれど……。
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