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家が揺れた。
天も地も真っ二つに裂くような巨大な咆哮が腹に響いた。
聞き覚えのある「大声」。
間違いない、ドラゴンだ。
街に襲来するとは珍しい。
間もなくしてメグが帰ってきた。
「プルート、たいへん! ドラゴン飛んできた!!」
「避難を手伝ってくる。きみはここにいて」
「やだ! あたしも行く!」
「ダメだよ。相手が相手だ。ちょっとしたとばっちりでも危ないんだ」
「だったら、なおさら行く!」
「どうして来たがるの?」
「だって」メグは両の拳を握り締め、俯き、ひっくひっくと泣き始めた。「だって、ずっと一緒がいいんだもん。ずっと一緒じゃなきゃ嫌なんだもん……」
嬉しいなあ。
素直にそう感じて、苦笑いを浮かべてしまった。
ひとに必要とされることは、やはりとても喜ばしいことなのだ。
「メグ、手伝って。狩るよ」
「えっ、そうなの? でも、ドラゴンの相手なんて絶対に無理――」
「誰かがやらなくちゃいけないんだ。街のひとを守るにはそれしかない」
「……わかった。やる!」
ぼくたちは装備を整えると、急いで外へと駆け出した。
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