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――五年後。
ぼくはじゅうぶんな貯えを得て、メグを連れて田舎に戻った。
買い上げたりんご農園での仕事が、ぼくの一日になった。
今年もぼくは、赤く実ったりんごを摘む。
その様子を、草の上で膝を崩しているメグが眺めている。
大きくふくらんだおなかを撫でる彼女は、とても優しい目をしている。
ぼくはメグみたいにかわいい女のコがいいなと思っている。
メグはぼくみたいに大きな男のコがいいなと思っている。
ぼくは首に掛けているタオルで額の汗を拭いながら、メグの隣に腰を下ろした。
「異世界も悪くないね」
時折、そんなことを言って、そのたびメグは優しく微笑む。
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