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「あー、どちくしょうだわ。リーダーって横柄な奴ばっかり。やってらんないわよ。死んじゃえばいいのに。ってか死ね。みんな爆発して爆散しろ」女のコがぼくに顔を向けた。「ねぇ、あんたもそう思わない?」
「一部の事実を一般化しすぎだよ」ぼくは言う。「褐色の肌。南のひと?」
「ちげーよ。"くろぎゃる"だよ」
「くろぎゃる?」
「黒いギャルで"黒ギャル"だよ。"ひさろ"で焼くんだよ」
「ひさろって、なに?」
「ひさろはひさろだよ。でもって、この世界にそんなものがないことくらいは知ってんよ。でも、ギャルって言葉は通じるのな。設定ガバガバじゃん」
妙なことを言う女のコだな。
そう感じずにはいられなかった。
眉根を寄せ、頭の中には「?」が浮かぶ。
ぼくはさぞ不可解そうな顔をしていることだろうと思う。
女のコはぼくに睨むような目を向け、口元だけでにっと笑った。
笑ったかと思うと、いきなり両手で顔を覆い、おいおい泣き出した。
「あたしにだってわからねーよぅ。気がついたらこんな恰好で森の中で転がってたんだよぅ。きっと、いや、ぜってー異世界転生ってヤツなんだよぅ。あー、ひさろに行きてーよぅ。"たぴおか"飲みてーよぅ。"いけめん"集めて"ごうこん"してーよぅ、うえええぇんっ!」
「えっと、要するに、きみ、この世界の人間じゃないの?」
女のコはあらためてこちらに顔を向け、にわかに目を輝かせた。
「おぉっ! 馬鹿面してんのに意外! 超察しがいいじゃん!」
「いや。そういうことも、あったりするんじゃないかなって」
「あたしに興味出てきたでしょ?」
「そこまでは言わないけれど」
「略歴を話してやるぞ」
頼んでもいないのに。
それでもまあ、聞いてやろうと思う。
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