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あっという間に、いいパートナー同士になれた。現在、百戦を超えても連勝中。二人でまかなえるクエストだけを選んでいることもあるけれど、メグの物覚えのよさと成長の速さが、勝ちを支えている。戦闘のいろははすぐに身につけた。運動神経が優れているところも強味と言える。ちょっとやそっとのことではへこたれない根性は見習うべき美点であり、実際、見習っているので、ぼくは自信を取り戻しつつある。残念なのはベッドを取られてしまったことくらいだ。
パンにジャムを塗っていると、パジャマ姿のメグが目をこすりながら寝室から出てきた。眠たそうな声で「おはよー、プルートぉ」と言い、ぼくの向かいの席に座る。
「昨日のシチュー、まだあるけど」
「食べる」
「わかった」
速やかに指示に従う。
かいがいしいとはぼくのことだ。
「今日もギルドに行く?」
「行きません。一日、肌を焼くのです」
季節は夏。
週に一度、メグは家の屋根にのぼって、全身をくまなく焼く。
メグの分と自分の分のシチューを器によそって、席に戻った。
「どうして肌を焼かなくちゃいけないの?」
「色黒のほうが健康的じゃん」
「この国では白い肌のほうが――」
「知ってるよ。もてはやされるっていうか、ちやほやされるよね。どうにも古いんだよなぁ。価値観が周回遅れって感じ」
「ねぇ、メグ」
「なんだ、相棒」
「きみはもう、一人でやっていけるんじゃないかな」
シチューをすくって一口食べてから、ぼくはメグのほうに目をやった。
メグはきょとんとした顔、目をぱちくりさせている。
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