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「えっ、いきなりなに? 二人暮らし、嫌になっちゃった?」
「そうじゃないけど、まあ、いろいろと思うところがあって」
「えー、なんですか、それぇ。ここに来て見捨てるわけぇ?」
「違うってば。五人とか六人とかできちっとパーティーを組んだほうができることが増えるし、高い報酬が得られるようになるんだよ」
「それはわかってるけど、えー、いいよぅ。あたし、最低限暮らしていければいいし。つーか、パーティー組んでるような奴って、みんな意識高い系じゃん。うざいっての」
メグは過去にも「意識高い系」なる言葉を持ち出した。そのときに意味を訊ねたところ、「意識高い系は意識高い系じゃん」と返ってきた。だから詳しいところはわからないままだ。
「だいいちさ、プルート、あんた、おかあさんのためにたくさん稼いで貯金しなくちゃじゃん」パンをむしり、それを口の中に放り込んだメグ。「ずっと薬を買い続けられるだけの貯えをつくって、いつかは田舎に引っ込むつもりなんでしょ?」
「ぼくのことはいいんだよ。なんとでもするから」
「プルート君はなにが言いたいんですかぁ? そこのところがまるっきり見えてこないんですけどぉ? ひょっとしてこのまま一緒に暮らしてたら、あたしのことを襲っちゃいそうだとか、そういう話なんですかぁ?」
「それはないよ」
「うげげっ。あっさり否定されるとちょっとショックなんですけど。って、まあいいや。あたしはあんたのことを利用させてもらってる。だったらあんただって割り切ればいいじゃん。あたしといればクエストこなせるんだし。持ちつ持たれつで問題ないじゃん」
ぼくは黙って食事に戻った。会話の内容が尻切れトンボだから気になったのだろう。お伺いを立てるようにして、メグが「ね、ねぇ? ホント、なにかあるならちゃんと話してよ。ウチらっていろいろあったけど、おたがい隠し事だけはしてこなかったじゃん。そうでしょ?」と言った。
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