1.激辛ラーメンとの出会い

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*****  「あなたはもう必要ないのですわ、ミスター・ジョン」  長く豊かな髪が美しいパーティー・リーダーの女性、スト女史ことストレンハイムに勝利の喜びをわかちあうべき酒場において、そう告げられた。ぼくは楽しくビールをあおっていたというのに、興を削がれるどころか、目が点になってしまった。今日の大型翼竜戦においてもうまく戦えたからこそ、自らの価値についてあらためて満足がいっていた。そう感じていたのだ。なのに、まさか追放? びっくりだ。目を見開くくらいしか、リアクションのとりようがない。  ぼくは冷静さを失わないように物を言うことにする。「わけがわからないよ」とだけ、まずはきっちりと訴えた。  スト女史は言ったのである。 「あなたは優秀すぎるのです、ジョン」  そうであることのどこが悪いのだと問うた。 「結果的に、いいところはあなたがすべて持っていっているではありませんか。それは事実でしょう?」  そんなつもりはなく、金銭に関して言うと、実際、手柄として得られた報酬をいの一番に回収しているわけではないではないか。むしろぼくは、そうならないよう、その考えをもって奉仕している。 「とにかく、あなたは王に認められた『伝説の勇者』なのかもしれませんけれど、その称号とあなたの振る舞いは、私たちにプレッシャーを与えているだけなのですわ」  "伝説の勇者"なる称号を与えられたのはどうしようもないことだ。一方で、偉そうに振る舞った覚えなんてない。やはりないのだ。事実、いや、それを通り越してことのほか、ぼくの言動は控えめだったはずだ。プレッシャーを与えるなんてとんでもない。その点において、ぼくは絶対的に潔白であるはずだ。  それでもスト女史いわく、「とにもかくにも、あなたをパーティーから追放します。これはみなの総意なのです」ということらしい。あっさり、そう言われてしまった。  酒を飲む気分ではなくなり、もはや誰もぼくの存在をおもしろくなっていないだろうと察したこともあり、店の出入り口の戸を押し開け、ぼくは帰路についた。スト女史が吐いた言葉が重々しく両肩にのしかかってくる。ぼくはまだ若い。二十代のなかばだ。だからほかの仲間なんていくらでも探せる。探せるだろうけれど、目には涙が浮かんだ。パーティーのために、もっと言うと仲間のために尽くしてきたのに、その末路がこれ、か……。
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