見えぬ私

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見えぬ私

 君は本を見ている、私は、君に触れる、 君は何も言わない、何も言ってくれない、 まるで、ぬけがらのように、本を 読み続けている、「何を探してるの? 私はここよ、ねえ、私を見てよ」 そう何度言うけれど、君は、  遠くを見つめるか、本を読む事しか しない、こんなに近くのにいるのにね、 声さえ君には届かないのね、心が痛い、 苦しい、でも、そばにだけいさせて、 触り返してもくれないし、  話してくれなくても、そばに… そして、六年目の桜が咲く、広げた右手に、 一枚桜の花びらが手に乗る、それを優しくにぎり、目を閉じ、胸に手をあてる、 「どうか桜よ、君の病が治りますように」  そう願いを込めた  願っても叶わないかな、ううん、 そんな事ない、絶対叶う、大丈夫、 私にきっと君は振り向いてくれるようになる 、星に願いをとはいかず、桜に願った、 きっと叶うきっと叶う、大丈夫大丈夫  日に日に体が重くなる、心の疲れがたまる、まるで、失恋のような思いをする、 なんて、この時まで思わなかった、 もう嫌、なんで、こんな辛くなるのよ、 ぐちをこぼしても変わらない日々 それでも、まだあなたに恋をしてる いつか、振り向いてくれるまで、私は、 あなたのそばにいたいの、迷惑かしら…? だって、この大事な恋は、あなた以外に見つけられないもの、そう思ってるのよ
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