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黒池の誕生日2024
「失踪事件……ですか?」
どうも、黒池皇希です。
朝、職場に着くと突然そんなことを言われました。
いえ、僕は警察官なので別に驚くような話ではありません。
ですが…………。
「そうだよ。その捜索を黒池ちゃんに任せようと思って」
「先輩、それって普通の捜査ですよね?どうして僕なんですか?」
僕は特別能力推攻課という、ちょっと変わった課の人間だ。テロだとか、立てこもりだとか。そんな事件に駆り出され、自分の武器で相手と戦うことを仕事としている。機動部隊と同じ扱いだが、機動部隊とは違って装備品は必要無いし、少数精鋭なのでコスパや作戦においてプラスになることが多いのだ。
……なので、失踪事件とかいう『ザ・警察官』みたいな事件とは縁が無いと思っていた。
だって僕たちは仕事が無いときは大抵書類の整理ばっかだし……。仮に失踪事件が起きていても、僕たちは書類の山と空っぽの箱とにらめっこするのは日常茶飯事だった。
それなのに、どうして僕に指名が入ったのだろう?
「人手不足……かな?」
回転椅子を反対向きに座り、こちらを見ながらリラックスしまくっている男……僕の先輩、上原英次はニコニコしながら答えた。
ノートの戦いが終わったあと、妙な仕事が増えた。そのおかげで事件が増え、人手が足りなくなっているのだ。
「人手不足って……。わかりました、では行ってきます」
「はーい!いやぁ、助かったよ」
推攻課の部屋から出ようとしたとき、先輩はヒラヒラと手を振った。意地でも出ようとしないなんて……。まぁ先輩らしいか。
「何が助かったんですか?」
僕は振り返り、何の気なしに聞いた。
「え゛ッ!?ううん、何でもないよ!」
「………………。行ってきます」
かくして、僕の大変な一日は幕を開けた。
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