だるまさんがころんだ

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 雪の降る音が聞こえる夜は、朝が来るのが待ち遠しかった。いつもなら布団から出たがらない小学生も、明るくなるとすぐさま外に飛び出した。 「積もったぁ!」  道も屋根も吐く息も、みんな真っ白だ。 「日曜日なのに早起きだな」  雪かきしているお父さんの頭も、雪が積もって真っ白だ。 「日曜日だからだよ!」  きっとみんなも早起きしてるはずだ。 「公園に行ってくるね」 「あったかくしてくんだぞ」 「はーい!」  ダウンのジャケットに帽子に手袋。毛糸の靴下をはいて長靴をはいて。よし、準備万端。私は走って公園へ向かった。遊具がなくてつまらない公園も、雪の日は最高の遊び場になる。一面に積もった雪でなんでもできる。 「おはよう!」  公園には近所の友だちが集まっていた。みんな思い思いに雪をかき集め、小さな雪だるまを作っていた。 「私も作る!」 「どうせなら、もっと大きな雪だるまを作ろうよ」 「賛成!」  そうしてみんなで力を合わせ、大きな雪だるまを作った。 「お腹すいた」 「寒くなった」  みんな口々にそう言いながら家へと帰って行った。 「待って……私もお腹すいた、寒いよう……」  みんな私なんて知らんぷりして行ってしまった。私も帰りたかった。でも動けなかった。私の体は雪に埋もれ、雪だるまになっていたから。
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