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『第二部 比翼連理 第五章 禁秘の神苑にて』のあらすじ
この作品は、『天と地が手を繋ぎ合うような奇跡の出逢いは、仕組まれた運命の輪環を廻す(第二部 比翼連理 第五章 禁秘の神苑にて)』( https://estar.jp/novels/26191049 )の続きとなっております。
また、物語全体のはじまりは、『天と地が手を繋ぎ合うような奇跡の出逢いは、仕組まれた運命の輪環を廻す(第一部 落花流水 第一章 桜花の降る日に)』( https://estar.jp/novels/26084370 )です。
よろしくお願いいたします。
ハオリュウと摂政の会食の日。それは、ルイフォンとリュイセンが車に隠れて難攻不落の庭園に潜入し、〈蝿〉を捕獲するという作戦決行の日でもあった。
ハオリュウは、万一のときは頼むと、同行するシュアンに言う。そして、それを立ち聞きしてしまったクーティエに励まされ、出発した。
摂政はハオリュウに「折り入って話がある」と切り出した。ただの会食ではないと分かりきってはいたが、案内の者として呼ばれた〈蝿〉に、ハオリュウは総毛立つ。そして、連れて行かれた地下研究室で『硝子ケースに入った〈神の御子〉』を見せられた。『ライシェン』という名前で、〈蝿〉が作った次代の王だという。
『ライシェン』という名前は、〈天使〉のホンシュアが、ルイフォンに向かって呼びかけた名前である。ハオリュウは勿論、隠しカメラからその様子を見ていたルイフォンも戦慄する。
摂政は、王家に〈神の御子〉が生まれない場合、〈七つの大罪〉の〈悪魔〉たちが過去の王のクローンを作ることで、王家を存続させてきたのだと告げた。そして『ライシェン』は、婚約したばかりの女王の子供として生まれるために作られたという。
女王が結婚する前から、人工的な次代の王を用意してある。その理由は、女王と婚約者ヤンイェンは表向きは従兄妹であるが、実は異母兄妹であり、子を成せというのは女王が不憫であったから、と摂政は説明した。しかし、女王は結婚相手が異母兄であることだけが嫌なのではなく、普通の娘のように恋愛をして結婚したいのだと言い出したらしい。
摂政はハオリュウに「君が女王の婚約者にならないか」と持ちかけた。結婚するにはまだ若すぎるハオリュウを婚約者にすることで式を伸ばし、その間に女王に恋愛をしてもらおうというのだ。女王が相手を見つけられれば婚約は破棄、見つけられなければハオリュウと結婚する。次代の王が決まっているのなら血統は関係ないから、と。
しかし、それは一見、女王のためと見せかけながら、摂政の政敵であるヤンイェンを蹴落とそうとしていることに他ならない。摂政は、メイシアが生きていることを知っていると匂わせてハオリュウに揺さぶりをかけ、よく考えてほしいと告げて話を終えた。
一方、ルイフォンとリュイセンは、摂政の話に驚愕しつつも気持ちを切り替え、〈蝿〉捕獲のための待機場所に移動する。その途中で、部屋から脱走していたファンルゥを保護し、この館に来ていることをタオロンに伝えてもらった。
待機場所に着いたルイフォンとリュイセンは、そこで『大型の硝子ケースに入った、ミンウェイの母親のような女性』を見つける。普段は地下研究室に置いてあったそれは、摂政の目から隠すために、今日だけ特別にそこに移されたものだった。そして、ふたりは『彼女』を迎えに来た〈蝿〉とタオロンと鉢合わせてしまう。
ルイフォンは、タオロンに味方になるように呼びかけた。しかし、娘のファンルゥを人質に取られている彼は、誘いに乗りたくとも断るしかなかった。
丸腰の〈蝿〉は、ルイフォンに「あなたが知りたいのは『メイシアの正体』ですか?」と尋ね、揺さぶりをかけてきた。隙を衝かれたルイフォンたちは、〈蝿〉にリュイセンの双刀の片方を奪われてしまう。〈蝿〉は、その刀をタオロンに渡し、リュイセンと戦うように命じた。
娘の命が懸かっているタオロンは戦うしかない。だからルイフォンは、リュイセンに発破をかけ、タオロンとリュイセンが戦っている間に、自分が〈蝿〉を倒すことを考えた。
ミンウェイの母親のような『彼女』に危害を加えたかのように見せかけ、〈蝿〉の隙を誘い、無防備な背中に昏倒の毒を塗った刃を投げた。しかし、〈蝿〉が『彼女』を守ろうと動いたために外してしまう。
必殺の一撃はかわされてしまったが、リュイセンの捨て身の陽動によって、ルイフォンは浅くではあるが、なんとか〈蝿〉に毒刃を刺すことに成功する。しかし、医者の〈蝿〉はすぐに毒抜きを始め、更にルイフォンたちにとってもファンルゥを脅しに使えることに気づいてしまう。
リュイセンは、ルイフォンに「逃げろ」と言う。そして、自分は怪我のために逃げ切ることは出来ないからと、身を挺して〈蝿〉の動きを封じる。そんな兄貴分に、ルイフォンは従うしかなかった。
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