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しかし、あの子の人気は長くは続かなかった。
あれだけちやほやされたことで、あの子はさらに彼女たちの反感を買ってしまった。
確かにそれは、仕方ないことだったと思う。
あの頃の僕は、彼女たちの気持ちなんて想像しようとも思わなかった。けれど、彼女たちの主張は最もだった。もちろんやり方は、完全に間違えていた。
正直、彼女たちだけでなく、あの頃の僕の目にも、男子生徒だけでなく教員も多少あの子を色眼鏡で見ている風に映っていた。そして、それを理解して利用しようとしているあの子の言動は鼻につく部分があった。
だから、彼女たちの主張も納得できる部分もあった。最初の頃は、仕方ないだろうと思っていた。彼女たちが、言葉で解決しようとしていた時ならば、見ている方が良いだろうと思っていた。
それでも、入学して二か月ほど経つと、それは見逃せないものに変化していた。
そのきっかけも些細なものになっていた。彼女たちは、あの子に特別優しくしていた人たちを、集団で無視するようになった。それを見たクラスメートは、あの子を裏切るようになった。
少し前までは、あの子のご機嫌を伺っていたのに、あの子の味方をしなくなった。
先生たちは、そのことについて指導するけれど、あの子に対しては何も言わなかった。あの子への態度は、さらに優しくなっていた。それは、あの子のためを思っての行動だったのかもしれない。ただ、それがエスカレートさせていることには、気づいていないように思えた。
だから、僕はあの子に同情ように感情を持つなった。これが、次第に恋心に変化していたのかもしれない。
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