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「足の悪い父をわざわざそちらに呼び出す気か! まあヴァージンロードは俺が歩くから問題はないが、それはともかくとして、まずは我がナスフ家ゆかりのある教会での式典で様子を見てからだ」
「こちらの立場としては王家の顔を立てて王都での式典の準備もあってですね」
「あんな弱腰の王家になど義理立てする必要はない! まずは我が家の格というものを見せつけるためにここでやる! そしてすべてをここで済ませこの子が何の問題もないということを確かめてから送り出すのだ」
「もういいではありませんか、支度金なら充分用意しましたし、義兄上にご心配いただくことは何もなくてですね」
「貴様うちの大事な妹をあの程度のはした金の支度金で買っておいて何の心配もいらんと言うのか!」
それまでずっと黙って聞いていたレギーナだったが、とうとう我慢の限界が来た。
「あー!!」
レギーナは叫びながら立ち上がった。
そして、テーブルクロスの端をひっつかんだ。
婚約者候補と兄アーノルドの目がレギーナのほうを向いた。
ふたりとも驚愕に両目を見開いていたが、レギーナはもう限界だ。
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