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第1話 そして今日も婚約が破談になるのであった
貴族の令嬢に生まれたからには、自由な結婚は望んではいけない。
どれほど恋い焦がれる男性がいたとしても、まずは御家と御家の相性だ。
そんな実家の社会的地位と財産を考えた上での結婚を、ひとは政略結婚と呼ぶ。
けれど、レギーナはこの家の娘である以上仕方がないと割り切っていた。
というより、むしろそうであってほしいと思っていた。
政治とか経済とかののっぴきならない事情があるなら簡単に婚約破棄できないに違いない。
何が何でも破棄されない婚約をしたい!
ロマンチックなムードを意識してしつらえた庭のあずまやの屋根の下。
白くて華奢な簡易式の円卓にて、レギーナと婚約者候補、そしてレギーナの兄であり保護者代理人であるアーノルドの三人は、午後のティータイムを味わいながらレギーナと婚約者候補の未来について話し合っている――はずだった。
目の前で飛び交う会話のキャッチボールが、いつの間にか剛速球に変わっている。
「だから、結婚式は全面的にこちらの家に任せていただいてですね」
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