雪中の福寿草

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◆Side B しんしんと雪が降り積もる夜。 大学1年生のみはる、梨央、沙穂の3人は、旅行先の旅館で怪談を楽しんでいた。 みはる「梨央の話、怖すぎだよ! 眠れなくなっちゃう」 梨央「あたしが添い寝してあげるから大丈夫だって」 沙穂「沙穂も混ざろっと。二人でみはるをサンドイッチしよっか」 みはる「それはさすがに息苦しいって。雪降ってる割にはそんなに寒くないし」 梨央「でも、明日は天気、どうなるのかな? あんまり積もると遊園地まで行けないかもだし」 沙穂「そこのプラネタリウムでもいいんじゃね? 知らんけど」 みはる「知らんけどじゃないって。多数決で却下した案、どさくさにまぎれて復活させないでよ……って、わ!? 雷!?」 梨央「かなり近くに落ちたね」 沙穂「ってか、この辺って冬でも雷鳴るの?」 突然電気が消える。 みはる「ひぃ! 何!? 暗い!! 怖いよぉ」 沙穂「停電っぽいね」 みはる「……みんな、どこ?」 梨央「はいはい、ここにいますよ。怖くないですからね」 沙穂「二人でなでなでしたげるから、へーきへーき」 みはる「なんで二人ともそんなに冷静なの?」 梨央「怖くないわけじゃないけど、あたしより怖がってる誰かさんがいるからね」 みはる「うぅ……また雷鳴った。近いよお。心臓にずんずん来るよお」 沙穂「こんなにガンガン雷落ちるもんかな?」 梨央「……あのさ、あたし気づいたんだけど、静かすぎない?」 みはる「静か? めっちゃ雷うるさいじゃん」 梨央「そうじゃなくて、この旅館、子ども連れも泊まってるのに、しぃんとしてるでしょ? 急に雷落ちて停電したら、もっと大騒ぎになると思わない?」 沙穂「そういや旅館の人も動いてる気配ないな。普通、もっとドタバタするはずだけど」 みはる「携帯も圏外になっちゃったよ。怖いから、私もう寝る。何かあったらさっきの怖い話のせいだからね! 梨央のせいだからね!」 沙穂「添い寝しなくて平気?」 みはる「……ちょっとして欲しいかも」 暗闇の中、テレビの画面がこうこうと光る。 梨央「え!? 何これ!」 みはる「やめてよ! 急に大きい声出さないでよ!」 梨央「ごめん、でもこれ、ありえない」 沙穂「テレビついてんじゃん……」 みはる「そんなわけないでしょ! 停電なんだよ!?」 梨央「……消えない。電源押しても、コード抜いても、テレビ消えないよ……」 沙穂「ちょっと待ってよ。この部屋とそっくりなのが映ってるじゃん。話してるのは男の人たちだけど」 みはる「そんなの見なくてもいいって! 私は絶対見ないからね!」 梨央「この人たち、何か話してるよ。ひょっとしてこれ……あたしたちの話?」
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