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◆Side A-3
シュウ「消えちゃった……」
厚司「つながってた世界が途切れたのか」
圭吾「急に静かになったな。雪のせいで余計に静かだ」
シュウ「圭吾、ほんとに良かったの? 僕も女の子の手前、ああ言ったけど、正直かなり怖いし、痛いのやだし」
圭吾「そうだな。もう手遅れかもしれないけど、せっかくだから話しておこうか。俺は沙穂って子に興味がある。一見ぶっきらぼうだが、追い詰められた状況でも包容力豊かな女性だ。彼女が極端に被虐的な状況下に置かれたらどんな反応を見せるのか、臨床心理の被験者として非常に興味深い。2人はどうする?」
シュウ「圭吾、なに言ってるの?」
厚司「最期くらい楽しい妄想するのもいいか。それなら俺はみはるにするよ」
圭吾「その心は?」
厚司「普通あそこまで開けっぴろげにありがとうとか言うか? 家庭環境も気になるし、俺は彼女の心理をのぞいてみたいな」
圭吾「俺はああいうやかましいのはお断りだな」
厚司「それはどうも。次はシュウの番だ」
シュウ「……まあ、選ぶとしたら梨央かな。余ってるからとかじゃないよ。その、本当は自分も怖いのに毅然としようとしてるところとか、必死に問題を解決しようとしてるところとか、そういうのに惹かれただけで……」
圭吾「俺は惹かれたとは言ってないぜ」
厚司「一番下心があるのはシュウだな」
シュウ「うるさい」
圭吾「さて、足音が近づいてきた。福寿草の化け物が来るか、それとも、未来が来るか、どちらかな」
厚司「未来?」
圭吾「ちょうど4年の時を隔てて、同じ場所で同じ状況に陥って、テレビ越しに話した。厚司がたまたま仕入れてきた怪談がきっかけでね。これが偶然のはずあるか? そう思って電話を取ったんだよ。あの雪の日のことを覚えていたら、彼女たちが何か手を打ってくれるかもしれないってね」
シュウ「……足音だ」
厚司「扉を、壊してる?」
圭吾「随分と乱暴じゃないか。思ったより大胆なお嬢さまだな」
扉が開く。
梨央「皆さん、助けにきました!」
みはる「あの時は泣いてばかりでごめんなさい……」
沙穂「ほら、さっさと逃げよ!」
圭吾「さっきよりも少しばかり未来の天使さまだ。俺が想像した福が来てくれてよかったよ。まだ未確定な重要事項があるけどね」
シュウ「重要事項?」
厚司「その心は?」
圭吾「お嬢さま方がフリーかどうかってことさ」
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