できることなら

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 気不味い再開ではあるものの、会えた事に安心し、よく行ったレストランで夕食を食べて、いつものドライブコースを走った。 「なんか久しぶりだね」 「そうだなぁ」 「もうこの道は康平と走る事はないと思ってた。今日来れただけでも良かったと思うよ」  まるで次はない様な言い方だった。 「あの後、大変だったんだから。まぁおかげですごく痩せれたけどね」  何故かわからないが美緒は俺に対し皮肉を言って嫌われようとしている様に感じた。  そして、あのパーキングに車を停めて本題に入る。美緒とヨリを戻し、今度こそ結婚を一から二人でやり直す為に。 「美緒、あの時は本当に申し訳なかった。俺は自分の事しか考えていなかった。改めて二人でじっくり話し合って考えて結婚を前提にして付き合いたい。やり直したい」  美緒は軽いため息をつき、俺を諭す様に話し出した。 「あの日、私は別れを切り出されたショックで混乱して、「わかった」としか言えなかった。その後、すごく後悔した。もっとワガママになって康平を悩ませるくらい嫌だって言えばよかった。拒めばよかった」  俺は何も返事が出来ない。 「私の事もう好きじゃなくなったんだと思うと身を削られる様に感じた。私は康平に依存していたんだって気付いた。友達と会うのを断って康平と会ってた。親と出掛けたりするのも断って康平と会ってた。それってなんか違うよね?」  そうだったのか。知らなかった。  いつでも会える、俺の事を大切にしてくれていると思っていた。 「この何ヶ月かで、やっと吹っ切る事が出来た。私はもう康平と付き合っていた時の私とは違うの。康平が悪いんじゃない、私が変わったの」 「いや、悪いのは俺だ。美緒の事を何も考えてなかった。俺が美緒をもっと大切にしないといけなかった」 「康平か悪かったのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。今となってはもうわからないよ。もう遅いよ、もう前の様にはなれない」  そう言い切った美緒の顔はとても晴れやかだった。
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