できることなら

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 今日は体調を崩してベッドから起きれずにいた。会社へ欠勤の連絡を入れた後、眠っていた様だ。時計を見ると午前11時少し前。  つまり、さっきのは夢だった。  美緒と水族館へ行ったことはない。  子どもたちが小さい頃に家族で遊びに行った水族館だった。それにイルカショーで濡れた事はない。  寝汗が酷く、着替えが必要な程だった。  寝汗をかいていた為に、さっきの様な夢を見たんだろう。  ないはずの記憶、家族との思い出が美緒に書き替えられる夢。  別の日見た夢を思い出しても、会話を交わす訳ではないが確かに夢のどこかに美緒がいた。    毎日毎回ではないが、とにかく美緒がいる夢を頻繁に見た。  食事をする程の食欲はなく、冷えたお茶を冷蔵庫から取り出して少し喉を潤した。ついでに安定剤を飲み、寝汗で濡れているTシャツを着替えた。  トイレで用を足して、またベッドに戻った。  次に目が覚めた時には夕方になっていて、娘が学校から帰り、玄関を開ける音で起きた様だった。  寝室のドアの向こうから娘が声を掛けてくれた。 「ただいま。お父さん、今日も具合悪かったの?大丈夫?」 「あぁ、おかえり。いつものヤツだよ、心配しないでいいから。薬を飲んでずいぶん楽になってるから」 「そう」  娘はそう言って、自分の部屋に入っていった様だ。ドアの閉まる音がした。
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