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「ベッド使わせてもらって悪かったな。昨日はちょっと調子に乗りすぎた」
「別に構いませんよ。それにしても彼女さんの話ばかりでしたね」
「申し訳ない」
少しホッとすると二日酔いのせいで頭痛に襲われる。それと胃のムカつきと空腹でどうする事も出来ない。
「お腹気持ち悪いんでしょ?何か作りましょうか。温かい物お腹に入れたら少しは気分良くなるかもしれませんし。座って待ってて下さい」
言われるがままソファに座って待っていると、テーブルに雑炊と温かいお茶が並んだ。
こんな事までしてくれるなんてすごく面倒見のいい後輩だなと思った瞬間、本当に急だが真由子の家庭的な対応に俺の心がグラつくのがわかった。
俺には美緒がいるのに……
2人とも実家住まいの為、美緒と朝、一緒に起きて朝食を作ってくれるという様な経験はなく、結婚に焦がれる俺としてはもの凄く新鮮で衝撃的な体験だった。
そこから俺の真由子に対する思いは日増しに強くなり、結果、美緒と別れて真由子と付き合う。
美緒に別れを告げると意外にも後を引く事なく別れる事になり、美緒も何か思う所があったのかもしれない。
しかし、真由子には大変申し訳ないのだが、ここが岐路となってしまった。
大切なものは無くしてから気付くというが、俺の場合は自ら手放してから気付いてしまった。
一時的に真由子に対し、浮ついた気持ちを本気と勘違いしてしまい、美緒の事を思い出して悶々とする日が続いた。
しかし、過ぎた時間はあまりにも大きかった。
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