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これが僕、月影望の人生の全てだ。
漫画を描く以外のことは何もない。
実家暮らし、彼女いない歴=年齢、おまけに友達はたった一人。
趣味は漫画と少しばかりのゲーム。特技や特筆すべき事柄もなし。
凡庸で貧弱な見た目のチビ眼鏡で、年間通してあらゆるイベント事に興味関心がなく、人とのコミュニケーションを求める事もない、およそ健全とは言いがたい18歳。
この春、僕は高校を卒業した。
進学はせず、本格的に漫画家としての人生を歩んでいる。
「天才高校生漫画家」という肩書きは使えなくなったから、他の連載陣と同じ土俵に並び立つプレッシャーにせき立てられる日々だ。
在学中もほぼ不登校だったから生活リズムや仕事のペースは変わっていないが、「学生だから」と多少許されていたものが無くなった感覚は確かにある。特に、編集担当から日々繰り出される要求にそれは滲み出ている。
『なんでそんなに嫌なの? 若い女の子にキャーキャー言われるの、いい気分だよ絶対!』
「その事象に快感を覚えるような人間だったら引きこもりの漫画家になんかなってません」
『望は経験した事ないからわかんないんだよ! 一回ステージ出てみなって! 皆が神みたいに崇めてくれるからさぁ!』
「……斉藤さんがそないにゴリ押ししてくるんは、僕を客寄せパンダにしたいっちゅーことですよね?」
『断じて違う! 俺はただ、お前に社会経験を積ませたくて……』
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