缶コーヒーと先輩

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 雪を見ていると心まで寒くなりそうだ。  昼休み。窓越しに見える雪を眺めながらお弁当を食べる。 「はあ……。雪って」 「そうかい」 「まだ何も言ってませんよ」  遮られた声の方をジロリと睨むと、丸く包まれた風呂敷を鞄から取り出す無愛想な顔。 「もう、何で遮るんですか」 「お前は喋り出すと止まらない。いい加減慣れたが」 「先輩ったらいつの話してるんです? さすがに落ち着きましたからね」 「落ち着くという言葉を辞書で引いてから言いなさい」  包みを広げながら呆れたように言う先輩。中から手作りらしいまるまるしたおにぎりが現れる。 「だって、もうすぐ卒業式じゃないですか。雪って卒業までのカウントダウンを表してるみたいで、何かだんだん切なくなるんですよね」 「……お前は俺が高校を卒業する時にも似たようなことを言っていたぞ」  だって、あの時はまさか思ってもみなかったんだもの。今でも先輩の隣でこうして過ごしているなんて。
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