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静寂に包まれる空間に、
僅かに響く2人の息遣いと衣擦れ。
俺はキスを繰り返しながら、
腕の中にいる彼を愛おしく感じ始めていた。
地上にいた数十分前までからはおよそ
考えられない感情だった。
小さく肉厚な彼の唇から流れてくる
温かく優しい気が、
日頃の悪ぶり意地っ張りな俺の心を
容赦なく掻き回し、確実に溶かしていく。
「葵、葵」
いつの間にか俺は彼の名前を囁きながら、
彼の唇を貪るように愛していた。
ずっとこうなることが約束されていたような
予感が胸を覆った。
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