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「葵‥‥俺と一緒に、地上に還ろう」
唇を離し、彼の柔らかく繊細な線で
作られたカラダを静かに抱きしめた。
「俺、改心する。小さな世界を大切にする。
だからずっと一緒にいよう」
「由貴」
途端、彼の表情は濁りを帯び、
つぶらな瞳からは大粒の涙が溢れた。
「僕は‥‥地上に還れない」
「何で」
「ここに留まってからもう8年も経つ‥‥
カラダは残ってない」
「‥‥え、」
次の言葉を失った俺に彼はしがみつく。
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