2.しっかり者の三女、倒れる。不運の終わり、恩義の食卓

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 帰宅するとすぐに、一人分の簡単な夕飯を作る。煮込み料理など時間がかかる凝った料理は選ばず、ちゃちゃっと作れるものだけ。  食べてしっかり後片付けをしても全然余裕で、あと小一時間は、私一人の城である。  そして 新田さんが帰ってくる頃にはもう、自室に引っ込んで 持ち帰った仕事をしたり、好きな時間を過ごせた。  ちなみに、パソコンを置くデスクやテーブルすら買っていないため、手ごろな段ボール箱に本を入れて、その上にパソコンを置くという雑さだ。この状態を木藤課長に見られたら、ギロリと睨まれるに違いない。  さすがに自分でも「これは、ない」と思っていて、簡単な折り畳みテーブルくらい買うべきか、迷い中である。あ、キャンプ用のテーブルでもいいかもしれない。  新田さんとは、あの初日の餃子定食以来、夕食を共にするようなことは無い。  共有スペースで顔を合わせた時に挨拶する程度だが、そこまで余所余所しく無く、かといってだらだら世間話をするわけでもなく、適度な距離感がいい。お互い空気のように。  なるほど素晴らしい、こういうことか。  必要以上に干渉しないというのは。  餃子のあれは、やはり新田さんの心遣いだったのだろう。初日だけの特別……納得。  もしかして時々夕飯を分け合ったりするのだろうか? 私もなにかお裾分けできるものを作った方がいいのか? などと、いろいろ考えてみたけれど、悩む必要は無かったようだ。各々、各自で。  新田さんと顔を合わせるのは、21時頃、私がシャワーを浴びるために部屋を出て、浴室に向かう時くらいだ。  自分の部屋にいて、「ああ新田さん帰って来たな」と、新田さんの存在を感じながら、バスタオルとタオル持参で、部屋から出る。  冷蔵庫にあるペットボトルの飲み物を取り出すために、キッチンに寄る。 「あ、おかえりなさい。お疲れさまです」 「ああ どうも。ただいま~」
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