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親戚というのは 沖津君のお母様の従姉妹で、彼にとっては〝従姉妹叔母〟という関係にあたるらしい。従姉妹同士同じ小学校に通っていて、小さい時から姉妹のように一緒に過ごしてきたために、従姉妹というよりは姉妹のように近しい存在なのだそう。
「その叔母さんが、昔 小金持ちの時にマンションを五部屋購入してるんだけどさ」
「五部屋!? それもう、小金持ちというか普通にお金持ちじゃないですか」
「うん、まあそう、豪快で変わってる人ではあるんだけど、五階建てマンションの各階に一部屋ずつ、103~503号室、縦にこう五部屋。間取りは2LDKで、」
「2LDK!? 広い!」
「うん、だから単身用ではなくて、ルームシェアできるような部屋なんだ。基本 貸すのは学生さんだけ、お金のない学生さんを応援したい、というのが叔母の目的だったから、家賃も格安です」
ルームシェアか、思い付きもしなかった。
定住するつもりもないし、正直、住めれば何処でも良いと思っていた。
「ダメ元で聞いてみたら、今、一部屋空いてるって。ルームシェアだし相手は学生さんだろうし、気は休まらないかもしれないけど、一時的な避難場所としてはいいかなって。あ、火事になったアパートよりは確実に会社から近いしね」
俺も二年間だけそこに住んでたけど、結構いいマンションだよ? と、付け加えた。
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