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『お久しぶりです』
名前は呼ばれなかったが、その口ぶりで察してくれたと気がついた。
『今更なんの用だ、あぁ?』
電話の向こうで眉間にシワを寄せている強面の男の姿が浮かんでくるようだった。
『すみません。その、もう1度世話になりたくて連絡しました』
嘘だけれど、緊張して声が震えた。
昔随分としごかれたことを思い出して背中に冷や汗が流れていった。
『なんだと?』
『俺今○○にいます。中古の家を買って、そこを終の棲家にするつもりで……』
住所まで一気に伝えた。
心臓は早鐘をうち、今にも爆発してしまいそうだ。
呼吸もみだれて酸欠状態になっている。
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