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 カサッ、と右手に何か触れた。  それは、ついさっき。病院で確認してきたエコー写真。  そう。この母に振り回されるのはもうたくさん。  この子には平穏に過ごして欲しいんだから。  でも、母をこのままにして、私は胸を張ってこの子の母親になれる?  目の前の生命を見殺しにして、この子を守った事になる?  ーー大っ嫌い。  母としての愛情なんてもらった覚えない。  私より大事なオトコがたくさんいて、帰ってくるのは居場所とお金に困った時だけ。  正直、いなくなって欲しいって思ってる。  それでも。  私は今、息づいている小さな生命に後ろめたい事はしたくない!  地面に転がっていた冷たい携帯を手にとった。 「すみません! 救急車お願いします!」
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