そして、今

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そして、今

「あ、雪だ」  どうりで寒いわけだよね。部屋の中は暖房効いてるはずなんだけどなぁ。  ドアがノックされ「はあーい」と返事をすれば、おじいちゃんが姿を見せた。 「どうだ? お母さんは」 「まだ寝てるー」 「そうか。お父さんは?」 「赤ちゃん見に行ってるよ」 「美命(みこと)は見に行かんのか?」 「さっき見てきたよ! 早く抱っこできるといいなぁ」 「すぐだよ。すぐに抱っこできるようになるさ」  ぽん、ぽん、とおじいちゃんが優しく頭を撫でてくれた。 「そういえばおばあちゃんは? 一緒じゃないの?」 「顔を出せんのだと。どうしていいのかわからんと」 「素直におめでとうって言えばいいのに」 「長い年月わだかまりがあったからなあ。数年じゃ簡単にはとけないもんさ」 「どういうこと?」 「そのうちにな。美命のおかげで、今のおばあちゃんがいるんだ。ありがとうな」  よくわかんないなぁ。なににお礼を言われてるのか。  ただ、おばあちゃんとママがぎこちないのは知ってる。おばあちゃんとママが二人で話してるの、見たことないもん。おばあちゃんがママの様子をすごく気にしているのはわかるんだけどね。 「今度はおばあちゃんと一緒に会いにきてね」  そう伝えるとおじいちゃんは、顔がくしゃってシワいっぱいになって、笑いながら指切りしてくれた。  私の妹が生まれたこの日。  空からは白くキラキラ光る雪が降っていた。
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