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吹雪の中、走りまわったのがたたったのだろう。
エオル先生と合流し、ソルを孤児院に送り届けた俺は、つぎの日から高熱をだして寝こんだ。
三日三晩が経過して、ようやく熱が下がった時、鏡に映る俺の髪は、元の濃い黄土色に戻っていた。
これは後から聞いた話だが、ソルは凍傷ひとつなく健康そのもので、皆驚いたらしい。
「きっと、テルースさんが魔法で癒してくれたおかげなんだと思います」
エオル先生はそう言ってくれた。
こうして魔力を取り戻したけれど、俺はレスキュー隊を辞め、実家に帰る決断を下した。
ずっと一緒にいよう。
あの雪の日の約束を果たすために。
親にも協力してもらい、週末里親を続けるかたわら、俺はソルを養子に迎える準備をすすめた。
正式に養子縁組が成立したのは、春のはじめのこと。
孤児院で俺の迎えを待っていたソルは、俺と同じ色に髪を染めていた。
「どうしてその色を選んだんだ?」
抱き上げてそう訊ねたら、ソルは耳もとでささやいた。
「だって、テルースとおそろいにしたかったんだもん」
「そうか、俺とおそろいがよかったのか」
「……うん!」
ソルがとても嬉しそうで、つられて俺も笑顔になる。
頭上では、木々の若葉が芽吹きはじめていた。
【おわり】
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