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そしてまた、冬がやって来た。
ソルと共に迎える、初めての冬。
正直、雪はまだ少し怖い。
でも、吹雪がやんで、空が晴れたら、雪だるまを一緒に作ろう。
きっとソルは喜ぶはずだ。
そんなことを考えながら、窓の外を眺めていた時、誰かが玄関の扉をたたいた。
こんな吹雪の夜に、いったい誰が。
いぶかしみながら扉を開けると、そこには雪まみれのエオル先生が立っていた。
「エオル先生!?」
万全の対策をしているとはいえ、相当寒かったのだろう。
歯をカチカチ鳴らしながら、必死の形相で、彼は言葉をしぼりだす。
「……ソル……こちらに、来ていませんか?」
「いいえ。……ソルがどうかしたんですか?」
ソルが孤児院からいなくなった。
そう聞いて、俺は分厚い外套をひっつかみ、外に飛び出した。
その理由は、彼の両親にある。
ソルを諦めきれず、孤児院まで押しかけてきたのだ。
もちろん、養子縁組はとっくに無効になっている。
孤児院の院長は毅然とした態度を崩さず、丁重にお引き取りねがったそうだ。
けれど、連れ戻されるのを恐れたのだろう。
皆が気づかぬうちに、ソルは姿を消していた。
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