32/36
前へ
/310ページ
次へ
「へえ。じゃあお前は俺を助けてくれたわけね」 「えっあ―…別に助けたとかじゃ」 「お前さ、本当なんなの」 目線が外れたと思えば、また合うその視線。 ゆっくり、ゆっくりと近づいてくる神山に私はただ動くことができなくて 「いきなり現れたと思って離れればまた会って。運命って残酷だよな本当」 「かみ―…」 「お前は俺の気持ち、なんも知らねえくせに」 寂しそうで、苦しそうなその声は 私なんかが抱えているものよりももっと深いなにかを―…
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加