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2:友達
今日は2回目の登校日だ。
各クラスでオリエンテーションをすることになっている。部活動紹介動画を見たり、委員会を決めたりもするそうだ。
クラスメイトとも顔を合わせることになるから、とてもワクワクしていた。中学校では友達は多い方だったのだが佐川高校は中学校の知り合いがほとんどいない。
新しい学校生活が始まるのは楽しみだが不安もある。楽しみ7割不安3割と言ったとこだろうか。
そんなことを考えながら歩いていると学校の前まで来ていた。僕は少し気合を入れてから校門をまたいだ。
事前に教えられた自分のクラスに行って席順を確認した。僕の苗字は桃井なので出席番号が後ろの方で、番号が遅い人はだいたい窓に近い席だ。授業中に窓の外を見るのは楽しいのでラッキーだ。僕は書かれた席に座って荷物を片付け始めた。
すると前の席に座っていた男の子が振り向いた。
「初めまして!俺、緑川 俊介って言うんだ。これからよろしく。」
「よろしく緑川くん!僕は桃井 小太郎!小太郎って呼んで欲しいな。」
「よろしく、小太郎。俺のことも俊介でいいよ。」
「じゃあ、俊介くん!」
早速話しかけてくれた彼は俊介くんと言うらしい。
高校に入って初めての友達をゲットできてテンションが上がった。
俊介くんと話し始めると周りの席の人も集まってきたので、自己紹介をした後、担任の先生が来るまでみんなで話をした。
みんな話しやすくて面白い人達が多い、このクラスなら上手くやっていけそうだ。
オリエンテーションが始まり、部活動の紹介や授業の仕方、委員会活動の説明、生徒会メンバーの自己紹介など色々なことをした。
なんの委員会に入るかは今日決めるらしく、僕は中学校でもやっていた保健委員に入ることになった。俊介くんも同じ委員会に入ったので安心だ。
部活動は入っても入らなくてもいいそうなので、どうしようかと迷っていた。
「小太郎はなんの部活に入るんだ?」
「うーん、中学では帰宅部だったから高校はやろうと思ってるんだけど、運動部も文化部も楽しそうで迷ってるんだよね〜 俊介くんは部活入るの?」
「俺は中学の時野球部だったから高校でも野球部に入るかな〜」
「野球部か〜!かっこいいね!」
「なんの部活で悩んでるんだ?」
「弓道部と美術部かな〜 弓道部はかっこいいけど、美術部は楽しそうだし、」
「なるほどな。美術部ってことは絵を描くのが好きなのか?」
「うん! よく家で絵を描くんだよ。俊介くんがよかったら、今度絵を描かせてほしいな! 野球やってるからだと思うんだけど、すっごく描きたくなる体してるよ!」
「別にいいけどさ、描きたくなる体ってなんだ…?」
「ん〜……いい感じの筋肉!みたいな?」
「なんだそれ」
僕達はそんな調子で話続け、どんどん話が脱線してしまい結局その日、部活は決まらなかった。
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