4:昼休み

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4:昼休み

楽しみすぎて夜になっても眠れない。 そんな運動会前の小学生のように興奮しっぱなしだった僕だったが、無事次の日を迎えることが出来た。 「今日は来るの早いんだな。」 「そうかな?」 「いつもはギリギリじゃん。今日なんかあるのか?」 この学校は8時までに登校しなければならないのに、僕はいつも2分前くらいのギリギリな時間に登校してくるのだ、しかし今日は朝早く起きてしまって7時40分に登校してきた。 そんな僕を珍しく思ったのか、俊介くんが話しかけてきた。 「内緒かな〜」 「うわ、なんだその顔。すっごいニヤニヤしてるぞ それで何も無いはさすがに嘘だろ。」 「えへへ。今日は例の先輩にデッサンのモデルになってもらえるんだ〜。だから楽しみ!」 「あぁ、この前言ってた名前が分かんないイケメンの先輩ね。会えたんだな」 俊介くんと友達になった時に 入学式前の出来事を話して、先輩を校内で見た事がないか聞いていたのだ。 さすがに入学して次の日でわかる訳もないのだが、一応聞いてみた結果、案の定分からないと言われた。 「昨日、弓道部に行ったらその人がいたんだ!黒田綾人さんって言うんだって!なんか名前までかっこいいよね!」 「大興奮じゃん、とりあえず会えて良かったな。」 ___ガラガラガラ 「みんな静かにー 挨拶するよー」 そう言いながら担任が入ってきたので、僕達は会話をやめた。 その後授業が始まり僕は授業中も先輩のことを考えていた。先輩のことを考えているうちに授業が終わり、気づいたらお昼になっていた。 「じゃあ僕行ってくるね!」 「あぁ、あんまり緊張するなよ。」 そう言って俊介くんは僕を送り出してくれた。 1年の教室は2階にあって、待ち合わせの空き教室に行くには渡り廊下を歩いて階段を上って3階に行く、そして3階の1番端だ。 その道の途中早歩きになったりしながら僕は急いで空き教室に向かった。 _____バンッガラガラガラ 「こここここんにちはァァ!」 「………どうしたんだそんなでかい声で。」 「い、いえ。緊張しちゃって。」 僕は教室に着いた瞬間、緊張のあまり勢いよく扉を開け、でかい声で挨拶した。 中に入ると、先輩は袴に着替えていたらしく制服を脱いでいた。 先輩は服の上からでも分かるくらいにいい体をしているのだが、脱いだらさらにすごかった。 何がすごいってお腹が割れているのだ。思わず自分のお腹を触ってしまった、最近食べすぎている僕のお腹は ぽよぽよしていて、少し先輩が羨ましい。 「手に持っているのは画材か?」 「はい! 僕が持ってる画材で1番いいのを持ってきました!これあればきっとすごくかっこよく描けるので、期待しててください! 」 「そうか…なら、期待している。」 「任せといてください!今回の課題で1番良かった人の作品を展示してもらえるらしいので楽しみにしててくださいね!」 今回の課題で1番良かった作品は美術部の展示室に飾られると部長が言っていたので、先輩のデッサンを完璧に描いて展示してもらうのが目標だ。 モデルの人選は完璧だ、あとは僕の実力を発揮するだけだ。 「着替え終わったが 次はなにすればいいんだ?」 「弓を引くポーズをして、止まっていてください。」 「わかった。………これでいいか?」 「もう少し腕を伸ばしてもらえますか?」 こうして デッサンは順調に進んだのだが、さすがに昼休みだけでは描き終わらず、今回は練習ということにしてまた別の日に描くことになった。 今週の土曜日は部活がないらしく、弓道場が空いていると聞いたので、その日に描くことになった。 僕は 気になる先輩と土曜日に会う約束ができてテンションが上がったのと、2人で教室に戻る準備をしているときに 先輩のクラスや趣味など、先輩について知ることができて、とても幸せな気持ちで自分の教室に戻った。 「どうだった?」 「やばいよ!俊介くん!! 先輩と土曜日に会う約束しちゃった!!」 「そうなのか! 随分と進展してるじゃん。」 「でしょ! あ〜...早く土曜日にならないかな〜」 「………楽しみで寝れなくて遅刻する、とかはやめろよ!ちゃんと寝るんだぞ。 」 俊介くんにも言われたが、約束の日まで あと2日はあるのに もう既に寝れなくなりそうだ。
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