30人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「いいよ。何にしようか?」
「そうだな。パパのために、シュークリームを買ってあげよう!」
紗那の表情は得意げで、人差し指を頬に当てて、お姉さんぶっている。きっと私の真似をしているつもりだ。何かを考える時に、私が頬に人差し指を当てるのを、紗那はよく見ているから。
「そんなこと言って、シュークリームが一番好きなのは、誰かな?」
「えへ、さなだった!」
「でも、パパもきっと喜んでくれるから、シュークリームを三個買っていこうか」
「うん! 四つでもいいよ!」
下から覗き込んできた紗那は、上手におねだりをする。私が紗那の笑顔に弱いことを本能的に知っているのかもしれない。だけど……。
「一人、一つだよ」
「ええ……けち」
紗那は不貞腐れて、薄桃色の唇を尖らせている。そんな表情をされると、買ってあげたくなるじゃない。でも、ダメダメ。甘やかしすぎだって、またパパに怒られちゃう。
最初のコメントを投稿しよう!