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私の手の中にあるのは私のスマートフォン。
そのスマートフォンに収まっている、彼の写真。
それは高校の卒業式で撮ったものだった。
その写真を見るたび、心臓が絞られるような感じがした。
違う人の名前でも「かいと」という言葉を聞くだけで何故かドキドキした。
わたしは彼の写真を消した。
だけど、もう平気。
彼との日常はいつも幸せに満ちている。
今では、あの時に写真を消した自分自身が信じられない。
「おはよう、海斗」
「あ。結奈、おはよ。相変わらず朝が早いなあ」
そう言ってふふ、と笑う海斗。
彼の左薬指には、わたしとお揃いのマリッジリングが光っていた。
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