6 夜明け前の逃避行

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「あんた達、誰よ!得体の知れない人間を……カイに触れさせる訳にはいかない!!」  ラニアの怒鳴り声を聞き、ローブの女性は手を止めて、少年の方を向いた。  すると、少年からククッ……と笑い声が漏れてきたのだ。 「何がおかしいの!?」 「いや、自己紹介がまだだったのを思い出してね」  少年はそう言うと、ローブを脱いでその整った顔立ちをあらわにした。  薄い唇、綺麗な鼻筋、ニュアージュ人らしい色白な肌。そして、柔らかな空色の髪の毛。誰が見ても美少年だと口を揃えるであろう容姿だった。 「僕はシリル。シリル・ジラード。蒼穹の徒の一員だ」 「蒼穹の、徒……?」 「そう。レジスタンス……革命軍と言えば分かるかな?」  革命軍……その言葉を聞き、ラニアの目が見開かれる。  それを見て、シリルは優しく微笑みながら彼女に手を差し伸べた。 「僕達は君達の味方だ」 「あたし達の、味方……」 「そう。君達と同じ、王国に対して反感を持っている人間……王国を変えたいと思っている人間が、蒼穹の徒にはごまんといる」
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