6 夜明け前の逃避行

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 シリルは穏やかにそう告げながら、差し伸べた手をひらひらと揺らす。 「君達も一緒に来るだろう?」 「…………うん」  ラニアはカイを女性に差し出し、シリルの手をとって立ち上がった。 「行く。あんたと一緒に……カイが笑顔で暮らせる世界に、変えてみせる」 「ふふっ、そうこなくちゃ」  シリルは嬉しそうに笑いながら、人気の無くなった路地へ向かって歩き出した。 「アジトに案内する。ついておいで」  スタスタと歩いていくシリルの後ろを、女性がカイを抱えながら着いていく。 途中、彼女はラニアに振り返り、小さな声で、国の人間に見つからないように隠れながら行くから、見失わないように。と忠告した。  ラニアはそれに頷き、2人の背中について行った。
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