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シリルは穏やかにそう告げながら、差し伸べた手をひらひらと揺らす。
「君達も一緒に来るだろう?」
「…………うん」
ラニアはカイを女性に差し出し、シリルの手をとって立ち上がった。
「行く。あんたと一緒に……カイが笑顔で暮らせる世界に、変えてみせる」
「ふふっ、そうこなくちゃ」
シリルは嬉しそうに笑いながら、人気の無くなった路地へ向かって歩き出した。
「アジトに案内する。ついておいで」
スタスタと歩いていくシリルの後ろを、女性がカイを抱えながら着いていく。
途中、彼女はラニアに振り返り、小さな声で、国の人間に見つからないように隠れながら行くから、見失わないように。と忠告した。
ラニアはそれに頷き、2人の背中について行った。
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