なごり雪

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ピー しんしんと雪だけが降っている。 今は春だと言うのに雪が降ってきた。 今までもそういうことはよくあった。 だが、今年は一段と寒い。 告白した日もそうだ。 淡い淡い雪が降っていたな。 あの笑顔を今でも覚えてる。 忘れてはいない。大切な思い出だ。 「愛している。ずっと」 たった今亡くなった妻の愛しい頬を撫でて、そっとキスをする。 「ああ。今行くよ」 まるで2人の別れを告げ、惜しむようになごり雪がいつまでも降っていた。
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