恋の花

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「葵!食堂行こうぜ」 昼休み。僕に声をかけてきたのは友人の太惺。 太惺はイケメンで勉強がよく出来て運動も得意だからすごくモテる。 なのに彼女を作らず、告白もことごとく断ってしまうので「好きな人がいる」って言う噂が大学中に広まった。 ちなみに、僕もその噂を真に受けている一人である。 「ねー、太惺?僕と一緒にご飯食べてくれるのはいいんだけど、時々他の子と食べたくならない?女の子とか……」 「いや、ならない。もしかして葵は俺と食べたくない?」 「ううん。そう言うことじゃないよ。じゃあいいかな」 食券を持って列に並びながら僕は考える。 女の子と食べたくはならない………。誰かを好きってこと、内緒にしたいのかな。でも、大学中に広まってるよね……?あ、噂が嘘ってこと!? 頭の中で「太惺会議」を開いている僕。 そこで気づく。僕は太惺に「恋」していることに。 僕が好きになる相手はいつも同性だった。 今度こそ、今度こそは。 「葵?ぼーっとしてたけど大丈夫か?」 「うん、大丈夫」 バレないようにしないと。
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